処暑





 この夏、面白い家族がイギリスからやってきた。元高知工科大学の留学生カップルで、夫パブロ(Pablo Lamilla Alvarez)はスペインのバレンシア出身、妻王静芸(Wang Jingyun)は中国の厦門出身。二人は高知工科大学で出会い、高知県香美市で結婚した。共に博士号取得後、妻は九州大学、夫は楽天カードに就職、7年間福岡で暮らした。

 2人には3人の子供がいる。王さんの連れ子で15歳になる中国人の男の子と2人の間にできた5歳の双子の女の子たちである。王さんが3年前にイギリスのDuhram大学にポストを得、一家で移り住んだ。家も買ったと言うので、暫くイギリスに腰を据えるつもりなのだろう。

 この家族は高知が大好きで、第二の故郷だと言っている。今回妻は高知工科大学の仕事で、夫はプライベートで3人の子供を連れて、3週間の「里帰り」をした。15歳の長男は高知、福岡を合わせ約10年間日本にいたので、日本語がぺらぺら、全く日本の少年と変わりがない。一家は、退屈した日がないと高知滞在を満喫していた。

 よさこいの1日目、一家は競演場となったはりまや橋商店街の一角にある弟の事務所WaterBaseにやってきた。数日前にも夕食を共にしたのだが、もう一度会いたかったので誘った。一家は喧騒の中、歩き疲れてやっとたどり着いた、という感じだった。建物の中で涼んだり、遊んだりしながら(男の子は専らスマホ)引き続き夜までよさこいの熱気を楽しんだ。合間に双子の女の子たちが中国語や英語の歌を、パブロが沖縄の歌を歌ってくれたりした。

 夕方、少女たちは遂に鳴子を手に外へ飛び出し、踊り子たちの隊列の後ろで踊り始めた。見よう見まねで踊る異国の少女たちが愛らしかったのか、審査員席の前で注目を浴び、なんとメダルを「獲得」してしまった。驚いた両親も「素晴らしい思い出が出来ました!」と大喜び。
 
 後夜祭の日、夫は仕事で高知に残る妻と別れて、3人の子供を連れて、高知駅から帰って行った。 スーツケースを5つも抱えて! 大阪からドバイ経由でスペインのマドリッドに飛び、実家のあるバレンシアまで母親の車で帰るという。子どもたちは残りの夏休みをスペインの祖父母のところで過ごすそうだ。

 日本、イギリス、スペイン、中国―4つの文化の中で成長していく子供たち。どのように人間形成がなされ、どのような大人になるのだろう。想像もつかない。

 元留学生たちが高知を愛し、こうやって戻って来てくれることは、この上もなく嬉しいことである。更に今回は彼らが国境を越えて家族を作り、逞しく、大らかに世界に生きる姿を目の当たりにし、圧倒される思いだった。

 熱く、感動的な夏が間もなく収束する。


外はよさこいで大賑わい!
中国語の歌もお上手!

ガーナ&日本友好の鳴子で踊りました
Luna Lamilla(父の姓)Wang(母の姓)&
Estela Lamilla Wang
高知駅で友人に見送られて
Pablo & 静芸 一家に幸あれ!



Playback 2013   私が高知工科大学を離れる時、留学生たちが送別会を開いてくれました

Pabloさんと王静芸さんも送ってくれました!
 

リンク:
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名前が先? 名字が先?
国際交流のシゴト