バレンシア

 オレンジで有名なバレンシアはスペイン第3の都市である。地中海に面し、市中心部は現在も中世の面影を残したまま、モダンなカフェやバーが立ち並ぶ。

 しかし、聞けば若者の失業率は40%にも達していて、この町でバカンスを謳歌しているのは観光客が大半とのこと。

 この町の工科大学と6年以上の交流があり、2年ぶりに訪れた。同大学は明確な戦略の下で学生交流を行っている。受け入れ2200人、派遣1500人。その内、欧州連合(EU)内に留学する者が1300人。残りの200人弱が奨学金を受けて米国や南米、アジアなどへ派遣される。

 日本へは毎年10人程度を派遣するが、高知は人気の行き先らしい。高知を訪れた留学生たち異口同音に「人と自然がよかった」と懐かしそうだ。

 バレンシアの人々はほとんどが住み慣れた土地を離れない。大学も親元から通い、地元で就職、結婚する。そんな彼らにとって、一生一度の留学経験は宝のようなもの。

 「日本は遠いけれど、その距離を乗り越えるだけの価値は十分あるわ」。そう話すマリアは昨年のよさこい祭で見せた、情熱的で美しい笑顔と熱いキッスで見送ってくれた。 (凛)