【立夏】


高知市鏡川のほとり



やはらかに 柳あをめる 北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに (石川啄木)

 昔、心を寄せていた方に教わった短歌である。望郷の歌だそうだが、私は川辺の柳が薫風にたなびく風景が切ないほどに美しいものに思え、涙がこぼれそうになる。しなやかな柳の枝が涙のようにも見えてくる。

 五月晴れの素晴らし季節になった。今日はこどもの日、端午の節句について書いた文章を再掲したい。


2011年4月26日

端午の節句

 私はJRとアンパンマンバスで通勤している。

 四季折々の車窓の景色が朝の栄養剤だ。今、水が張られた田んぼに行儀よく並んだ早苗がいとおしい。空には色鮮やかな鯉のぼりが元気よく泳いでいる。これぞ美しい日本の原風景、破壊された東北地方に取り戻したい姿だ。

 端午の節句が近づいた。もともとは田植え前に菖蒲やヨモギで邪気を払う女性たちの祭りだったという。男の子の節句として祝うようになったのは武家社会に入ってからのこと。菖蒲が尚武や勝負につながった。

 昨年旧暦の端午節(6月16日)のころ、中国のハルピンを訪れた。中国では最近旧暦が見直され、春節に加え清明節、端午節、中秋節が祝日となったそうだ。

 ロシアとの国境近く、松花江のほとりを朝早くみな手に手にヨモギをもって、家族連れで散歩している姿は平和そのものだった。屈原の故事に因んで棗入りのちまきを食べるのも大切な伝統だ。

 中国の端午節は男の子とは関係ないが、訪問した大学で「子どもの日」の話をし、香美市土佐山田製のフラフを贈ると、大喝采を浴びた。

 日本のオーバーホールを考える今、旧暦文化をもう一度見直したい。  (凛)



中国の端午節について詳しくはこちらへ
https://ban-mikiko.com/1672.html



母と同じく癒しを求めて今年五月人形を買ってしまった。

2022年仁淀川の紙鯉のぼり