病室から眺めた中秋の月たち(Enjoying the mid-autumn moons)
秋の到来が恋い焦がれる頃、私は又もや喘息の発作を起こし、再び入院することになった。私の老後の人生の中に「病気」というキーワードがしっかり組み込まれたことをつくづく感じ、観念した。ああ、私はこの数年、病と闘っている身なのです!
幸い、今回は重症ではなかったので、工夫をし、病とうまく付き合おうと心に決めて、今年2度目の入院をした。
入院は中秋の名月の時期にかかった。十五夜はちょうど朝ドラ「らんまん」の最終日で、今年は五台山の牧野植物園で名月を眺めることが出来たらなあ、などと期待していたのだが叶わなかった。
しかし、私は幸運にも病室の窓から数日に亘って月のドラマを鑑賞するという稀有な体験をしたのだった。
夜の静寂の中、音もなく一滴一滴私の体に落ちていくステロイドという薬、私の体にどれほど堆積してしまっていることだろう。ふと東向きの窓に目をやると、月が私を見守ってくれていた。夜な夜な私はベッドという「特等席」で月と向き合い、越し方行く末を想った。
🌕 9月28日 真東の空に ふと宵待月(小望月)が昇っているのに気づき、歓喜した!
🌕 9月29日 今夜は十五夜を楽しむぞ、と待機した。 友人にお月さまメールを送ったり、過去にHPに書いたコラムを読み返したりしながら、広くアジアに広がる月の文化に想いを馳せた。月はきれいに現れたが、間もなく雲 に隠れてしまい、その夜は中秋の想いに浸って過ごした。
🌖 9月30日 十六夜の月こそは、と期待したが、あまり見えなかった。
🌝 10月 1日 立待月 美しい月が昇った。折しもテレビでは新日本の歌選―秋の音楽会を放送していて、月を愛でながらイヤホンで聞いた。由紀さおり安田祥子姉妹の澄んだ歌声が夜空に響いた。何と美しいメローディー、日本語、そして、日本の秋! ああ、秋「らんまん」!
🌖10月 2日 居待月 今夜も月に会えた!翌朝4時 明けの明星 金星に気づく
🌖10月 3日 寝待月
振り返ってみると、月を想い、陰暦や月の文化について考えるようになったのはマレーシア滞在からである。その体験が今回集大成されたような気がする。満月や三日月はこれからも人生の道しるべとなるだろう。
来年の中秋の名月はどこで、どんな月を眺めることになるのだろうか。
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★【閑話】中秋の名月
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🌝 🌖 月の満ち欠け 🌗 🌛