英語抜き

 先月、中国東北部のハルピンにある師範大学の創立60周年記念式典に招かれた。この地域は歴史的にも日本との縁が深いが,最近はロシアや朝鮮半島と急接近している。

 学生数4万人。キャンパス中に真っ赤な横断幕が掲げられアドバルーンも。祝賀ムードに満ちていた。まるで人民大会堂に迷い込んだような式典会場。司会者の姿がスクリーンに大写しされ、迫力ある声が会場に響きわたった。急成長する国の勢いが伝わってきた。

 海外からは日本、ロシア、韓国など6か国の約20人が出席し、来賓を代表して北海道教育大学の学長があいさつした。地域交流が深まっていく中で、依然として日本を重視している証しだろうか。

 参加者との名刺交換で表はロシア語、裏は中国語のものをもらった時はハッとした。英語抜きの国際交流! 同大学の国際交流部には英語以外にも日本語、韓国語、ロシア語の通訳がいて、多言語でコミュニケーションがとられた。

 国際=英語というイメージが打ち砕かれ、世界各地で今、このような「もう一つの」グローバル化が急速に進行していることを実感した。英語だけで済ませる時代は終わったのである。 (凛)