空と海

 紺碧の空と海、きらめく陽光、冷たい潮の風、希望を呼ぶ菜の花畑。春浅き室戸岬の自然は私が最も愛する土佐の風景の一つだ。

 1200年前、空海はこの岬で天と地を見つめ、悟りを開いて、やがて遣唐使として長安に渡ることになる。この地に立つたびに、この自然なかりせば空海の名も人物も生まれなかった、と感動を新たにする。

 今年も留学生たちを連れて訪れた。ジオパーク、四国八十八か所、吉良川の町並み、雛祭り。研修内容には事欠かない。馬路村にも寄って村おこしについて学んだ。留学たちは大自然の中に放たれ、行く先々で地元の温かいおもてなしを受けた。

 パビリオンや銅像もよいが、高知の空と海はそれだけでも素晴らしい。森林や清流、風さえもどこか違う。数多くの偉人を生んだこの風土こそが誇れる資源だ。そこに歴史のダイナミズムを重ねたとき、壮大なロマンが生まれる。

 昔、チャーター機は日本人観光客を乗せて海外へ飛んだ。アジアが豊かになった今、近隣諸国から観光客を乗せてやってくる時代になった。龍馬ばかりじゃいかんぜよ!そんな声が聞こえてくる。(凛)