「日マ関係を回顧する」の最終回は再び日本語弁論大会の優勝作品(1998年)をお届けしたい。


再掲

マレーシアの若者が見た「日本の国際化」

1999年8月15日

 
私が見た日本の国際化(Yeun Yin Fong)*(注1)

 最近世界中どこでも”国際化”ということが言われます。日本でも国際化は前から言われています。マレーシアでも国際化やグローバライゼーションがいろいろな所で言われています。

 私は短い間ですが、日本へ行ったことがあります。今日は、私がその間に自分の目で見た日本の国際化について話したいと思います。

  日本人は、”国際”という言葉が好きなようです。いろいろな所でこの言葉は使われます。大学には国際学科、国際文化、国際経済、国際関係などの学科や学部があります。スポーツも国際大会がたくさんあります。国際会議もたくさんあります。なんでも国際をつけると立派になります。

 私は日本の国際化について2つのことに気がつきました。1つは日本の国際化は西洋化と同じということです。2つは国際化して自分の伝統をなくしていることです。

 日本人は外国人、とくにアメリカやヨーロッパの人や文化に憧れます。他の世界の人も外国人です。けれども、そのような人や文化にあまり憧れません。

 西洋世界の文化は日本のライフスタイルに影響を与えています。家族も学生たちもだんだん伝統を捨てるようになりました。日本の若者は伝統的なスポーツ、例えば相撲、剣道、空手などはあまりしません。伝統的なスポーツよりサッカーや野球の方が好きです。また、若者はみんなハンバガーを食べ、あまりご飯を食べなくなりました。*(注2)

 私はこのような事はとても悲しいことだと思います。どうして日本人は西洋世界だけに目を集中しま すか。

 日本人は他の世界、とくに東南アジアについて知らない事がいっぱいあります。日本にいる時、ある経験をしました。

 広島の福山で電車に乗った時、私と日本人の友達が英語で話していました。東京ならそんな事はへんではありません。電車の中に二人の高校生がいました。彼女が、「あの二人は外人じゃないのに英語で上手に話している。信じられない!」と大きい声で言いました。日本の人はアメリカかヨーロッパの人しか英語を話さないと思っています。

 日本の中学校や高校で国際化のために外国人の先生も教えるようになりました。でもその先生は全部アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人ばかりです。アジアの先生、アフリカの先生はいません。

 日本人にとって、国際化は何ですか。私は、日本の国際化は限られていると思います。国際化は西洋化ではなくて日本は世界の他の国にも目を向ける方がいいと思います。昔、日本の文明化は中国や韓国から始まりました。今でも、東の世界は独特な文化を持っていると思います。

 マレーシアは”Look East Policy”でアジアの国に目を向けています。マレーシアはその点で日本より進んでいると思います。日本も、西洋だけでなく東に目を向ける時ではないでしょうか。

 将来日本が本当に国際化できることを願っています。


*(注1) Yuenさんは、当時マラヤ大学人文社会科学部東アジア研究学科の日本研究プログラムに在籍。マレーシアの高等教育機関における日本研究の歴史は浅く、同プログラムは1993年に開設されたマレーシアで唯一の日本研究コースである。
*(注2) その他マレーシアの若者が日本へ行って驚くことは、茶髪の若者やたばこを吸う女の人が多いことだそうだ。