立冬





 10月21日に首相に就任したばかりの高市首相の初めての外国訪問の様子をYouTubeで見た。

 10月26日、クアラルンプールの「日ASEAN 首脳会議」の会場。高市首相が入ると、場が華やぎ、議長国マレーシアのアンワル首相が嬉しそうに(?)高市首相をエスコートして会場を回っている。ASEANの首脳たちが「我も我も」(?)といった様子で次々に高市首相に挨拶をする。

 記念集合写真では明るいクリーム色のジャケット姿の高市首相が紅一点、真ん中で「咲き誇って」いた。

 会議冒頭で、アンワル首相がユーモアを交えて高市首相を紹介した。「優秀な男たちを打ち負かして首相に就任されたことをお祝いします」と祝辞を述べると、会場は大きな笑いに包まれ、アンワル首相自身も笑いをこらえ切れない様子だった。続いて「私の妻も娘たちも(夫人は元副首相、娘も政治家)あなたを全面的に支持しています」と親しみを込めて述べ、高市首相が爆笑する姿をカメラがとらえていた。

 「トランプ大統領の来日を控えてお忙しい中、出席いただいたことは、日本がASEANを重視している表れであり、感謝しています」とのアンワル首相の言葉には単なる外交辞令ではなくASEANの日本に対する強い期待感が感じられた。「Japan is back!」と受け止められたのではないだろうか。

 続いて高市首相のスピーチがあり、冒頭3分間は英語で行われた(高市首相の英語力には賛否両論あるが、少なくとも英語で話そうとするその姿勢には好感がもたれたようだ)。スピーチが終わると、アンワル首相は「ありがとうございました」と日本語で礼を述べたのも微笑ましかった。久しぶりに触れたマレーシアや東南アジアのフレンドリーで大らかな雰囲気に懐かしさを覚るととも長年培われたASEAN諸国の日本に対する親しみと大きな期待感を感じることができ嬉しかった。

 ところで、私はYouTubeを見ながら一つのことに注目していた。アンワル首相が高市首相を何と呼ぶだろうか?ということにである。「Takaichi Sanae」(「Sanae Takaichi」ではなく)と紹介されたことに、さすがマレーシアと安堵した。

 各国の報道を見ると、「Sanae Takaichi」と紹介されることも多かったようである。
Prime Minister Takaichi or Prime Minister Sanae?  そんな問いが世界を巡ったのではないだろうか。

 なぜ私が性・名の順にこだわるのか。2005年に書いた「名前が先?名字が先?」というコラムを是非ご一読いただきたい。名前の正しい呼び方を知ることは国際交流の第一歩だと今も信じている。

🌸名前が先?名字が先? 
🌸私の名は「花子・太郎」


 高市首相の評判は持ち上げすぎとの感を否めない記事もあるが、彼女が見せた外交の場でのパフォーマンスが今の日本の閉塞感を突き破ったことは確かである。この勢いで日本はどこへ向かっていくのか、ゆくえを固唾を飲んで見守っている。