かわいい子

 白いスカーフで頭を覆った色黒の女子学生が、大きな目を輝かせて上手な日本語でしっかりと答えていた。

 「私にも何かできることがあるかもしれないし、復興の姿からもきっと多くを学べると思います」

 4月末のテレビ番組の一こまである。それは、1981年よりマレーシアで始まったルックイースト政策に基づく政府派遣留学生の19人が、日本へ出発し東北地方の各大学へ向かうことを伝えていた。

 私は一瞬目を疑った。東日本大震災後、多くの外国人が国外退去、来日キャンセルの話ばかりを耳にし、4月末時点で、東北地方の外国人留学生の65%が戻ってきていないという調査結果もあったくらいだ。

 マレーシア政府の勇気ある決断に至る経緯を知りたいと思った。何よりも親御さんがよく許したものだ。政府の客観的な状況判断を信頼してのことだろうか。それともイスラームの信仰に裏付けられて「インシャーアッラー(神のおぼしめし)」と心を整理したのだろうか。

 かわいい子には旅をさせよ、の心境でわが子を送り出したに違いない。親日マレーシアの官民一体の行動力に敬服し、「もう一つの選択」というものがあることを教えられた。   (凛)